【連載】小児科 ‐ アレルギーの予防 離乳食開始を遅らせない 乳幼児期早期からのスキンケア

CHILD'S SCHOOL

アレルギーの予防
 離乳食開始を遅らせない 乳幼児期早期からのスキンケア

※離乳食を遅らせない
 卵や牛乳、小麦など赤ちゃんのアレルギー気になりますよね。自分の赤ちゃんにどのタイミングではじめたらよいか、育児書に書いてあったりお友達に体験談を聞いてはみるけど、なかなか一歩が踏み出せない。母親が妊娠中や授乳中にたくさん摂り過ぎると赤ちゃんにアレルギーが出てしまうのでは? 赤ちゃんの腸はまだ未熟だろうからあまり早い時期に食べさせない方がいいかもしれない、とつい考えてしまいます。
 病院でも以前はそのように指導していた時期がありました。赤ちゃんが卵を食べて蕁麻疹がでたら、まだ早かったね、数ヶ月食べさせないでおきましょうと指導していた時期があったのです。その名残なのか、今でも、8ヶ月、9ヶ月に入っても卵や乳製品を怖くてまだまったく食べさせていないとおっしゃるお母様がいて、とまどい、慌てることが時々あります。
 最近は、食物アレルギーを防ぐには早い時期にその食物に慣れさせておくこと、時期がきたらきちんと離乳食を始めることが大事であることが分かってきました。
 大丈夫かしらと思われるかもしれませんが次のような実験があります。生後4、5ヶ月でアトピー性皮膚炎と診断された乳児達を、生後
6ヶ月から鶏卵を食べ続けた群と、わざと食べさせなかった群の2つに分けて、生後12ヶ月における鶏卵アレルギーの発症を検討したところ、鶏卵アレルギーの発症率は食べさせた群で8%だったのに対し、食べさせなかった群で38%と食べさせなかった方が鶏卵アレルギーの発症が高かったのです。
 このように、特定の食物を過度に除去したり、摂取を遅らせると、かえって食物アレルギーの発症を誘発してしまうことがあります。腸はまだ未熟だから控えようと考えるのではなく、むしろ、口からは慣れをつくり、早く経験させてあげようとするのが正解です。ただ、一番最初にあげる量はごく少量からにしてくださいね。

※皮膚の適切な治療が食物アレルギーの予防に
 一方で、離乳食を始める前にすでに食物アレルゲンに感作※されているとしたら心配です。実は、ごわごわ・かさかさ・発赤の強い荒れた赤ちゃんの皮膚では、本来のバリア機能が傷害されていて、どうやらそこから外来の刺激物(食物抗原含む)が取り込まれ、免疫反応が働くと感作を作るようなのです。ですからこのような皮膚を治療せず放置しておくと、感作が進み、食物アレルギーを発症するリスクが高まると考えられるようになりました。ですから乳児期早期の皮膚の炎症、乾燥は保湿薬やステロイド薬で早期に治療して本来のすべすべ肌にしてあげ、それをキープし続けることが大切です。

感作…アレルギー反応を起こす原因物質に対して免疫機能により抗体がつくられた状態


まずはプロペト(ワセリン)。赤ちゃんの口の周りは母乳・ミルク、よだれ、離乳食、鼻汁でかぶれがちです。清潔なおしぼりで拭いた後、毎回塗ってあげましょう。プロペトはべたつくのでなるべく薄く、その代わり何回塗ってもOKです。お尻のケアにも使えますよ。プロペトは成分を入れる前の基本薬ですが、お母さんの愛が入ったら王様です。

保湿剤も大切です。乾燥しやすい季節、塗りやすさ、お子さんの好み、逃げ回って塗るのが大変、時間がないなど個人差やご家庭での事情が異なっていますのでたくさんの種類が用意されています。しばらくは続けるものですのでお子さんにあったものを相談してください。よくやる間違いが量をケチること。小指先一関節分のクリームが二手のひら分です。塗った後ティッシュがつくぐらい十分な量を塗りましょう。

そして赤くなったら皮膚が炎症を起こしている証拠です。炎症を和らげるのはステロイド軟膏。ステロイド軟膏といっても強さはいろいろ。うまく使えば強力な味方です。からだの場所で効果も違います。いったんすべすべよくなっても、また発赤を繰り返すことが多いのが特徴です。その場合表面はきれいになっていても、皮膚の下ではまだまだ炎症が治まっていないのです。ですからきれいになっても継続して塗り続けることが必要です。かかりつけの先生に相談してどのように塗っていけばいいのか、肌がきれいになっても次の塗り方を相談してください。

 赤ちゃんのスキンケアをよろしくお願いします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました