【連載】小児科 ‐ 花粉症・鼻炎 長引く鼻汁・鼻閉

CHILD'S SCHOOL

花粉症・鼻炎 
 長引く鼻汁・鼻閉

 お子さんがずっと前から鼻をすすっている、くしゃみをしている、いつも口が開いている、鼻を痒がっている、鼻血が出やすい、寝ている時鼻が詰まって苦しそう、そういった気付きがありませんか。子どもの花粉症・鼻炎は大人のくしゃみ、鼻水と違って症状の出方があいまいで本人の訴えも乏しい特徴があります。私たちはそういった症状がある時は花粉症・鼻炎などアレルギーを疑ってみる必要があります。

 子どもの花粉症・鼻炎は他の病気を起こしやすいのも特徴です。滲出性中耳炎(のどや鼻の病気が慢性化して中耳に滲出液がたまる。難聴を招くことがある)や、副鼻腔炎の引き金になったり、それらの治りを悪くすることがあります。
 本読みや勉強に必要な集中力も落ちるでしょう。何と言っても睡眠に悪い影響を及ぼすようでは大問題です。子どもの発達にとって睡眠はとても大切だからです。
 アトピー性皮膚炎や喘息、食物アレルギーなど他のアレルギー疾患を合併していることが多いのも特徴です。そして、花粉症・鼻炎は自然と治っていくことは期待できません。
 普通の風邪だと長くても2週間程度で改善傾向はあるはずですし、くり返し風邪を引くこの年齢を考えても、継続的に最初述べた症状が続く時は病院を受診して検査を受けてみることが大切です。くすり自体で症状はある程度改善しても、花粉症・鼻炎を治している訳ではないからです。最近は以前では少なかった低年齢でもみられるようになっています。

 今年の2月から5月のスギやヒノキの花粉量は例年より増える可能性が心配されています。理由は去年がそれほど多くなかったこと、そして昨年6、7月の日照時間が長かったことが挙げられます。毎年この頃に悩まされるお子さんは今のうちに対策をとっておいた方が良さそうです。

● 診断                
 症状の特徴、アレルギー検査(血液・鼻汁・皮膚からの情報)と鼻粘膜の状態で診断します。

治療                  
抗原除去と回避
 ホコリを減らしたり、花粉を家に持ち込まないよう出来る範囲で配慮してあげてください。

抗アレルギー薬を服用
 小さいうちから使え、眠気が少なく、長く使える抗アレルギー薬が出ています。シロップ、ドライシロップ、チュアブルなどの剤型もあります。花粉症では症状が出る前から薬を飲み始める初期治療が大切なのは大人の花粉症と同じです。とりあえず症状を和らげてあげましょう。

こまめに吸引や吸入。マスクを着ける
 ふだんからこまめに耳鼻科で吸引や吸入を受け、鼻粘膜の状態をよくしておきます。花粉症にマスクは有効ですのでなるべくつけるようにします。

鼻噴霧用ステロイド薬
 2歳から使えるものも出てきています。低年齢ではより丁寧に噴霧してください。

レーザー治療(保険適応)
 7~8歳になるとレーザー治療もできます。意図的に日焼けのようにあとをつくる外科的療法です。粘膜を焼き縮めるので鼻の空間が増え、鼻水を出す腺の働きを弱め、鼻づまりや鼻水を緩和します。即効性で副作用があまりないことがメリットです。

舌下免疫療法(保険適応)
 5歳から可能で花粉症の根治が期待されている新しい治療法になります。錠剤(スギ花粉・シダキュア)を1日1回舌下に置くことで、アレルゲンを体に慣らし、アレルギー症状を改善します。ちょうど卵・牛乳・小麦などの食物アレルギーで少しづつ食べさせ慣れさせて治癒を目指す方法と同じです。ダニに対するお薬もありいずれも数年続ける必要があります。

その他の治療法
 2020年より、12歳以上の重症・最重症のスギ花粉症に対して、2月~5月に抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア)を皮下注射する治療(保険適応)を行うことができるようになりました。
 花粉症・鼻炎は大人でも辛いです。発達に支障が出るかもしれません。「鼻水ぐらい」で放っておかないで将来のためにも、今のうちに治療しておきましょう。

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