【連載】内科・心療内科27 – 子どもの生活習慣を整える「睡眠・メディア日誌」

CHILD'S SCHOOL

子どもの生活習慣を整える
「睡眠・メディア日誌」

 最近、子どもの不登校が増加しており、その原因の一つに生活リズムの乱れが挙げられています。就寝時間が遅い子どもを朝起こすのに苦労していませんか。
 今回は規則正しい生活習慣を整える対策について考えてみましょう。

ネットの利用時間を見直し、生活習慣を改善しましょう

 ネット社会の到来により、子どもの生活も激変してきました。内閣府の調査によるとネット利用時間は、小学生で2時間、中学生で3時間、高校生で4時間と言われています。1日2時間使用した場合、1年に換算すると1ヶ月に相当します。4時間では2ヶ月に相当し、ネット以外に使える時間は1年のうち10ヶ月しかないことになります。これだけの時間をネットに費やす分、子どもの成長と発達に大事な睡眠と運動、外遊び、勉強の時間が減少しています。
 そこで、さつま町教育委員会と共同でこれらの減少した時間を取り戻す目的で睡眠時間とネット使用時間、勉強した時間を記録する「睡眠・メディア日誌」を作成しました。毎日記録することで自分の行動を知ることができ、問題があれば反省して改めるきっかけになります。また、親や先生に評価してもらうことで達成感を味わい、それが自信につながります。
 

 睡眠・メディア日誌をさつま町の小学1年〜6年生452名に3ヶ月つけてもらいました。その結果、25%の子どもが毎日記入し、50%が時々記入したと答えました。3ヶ月後の子どもの変化について調査したところ、睡眠に関しては毎日記入した子どもでは31%が早く寝るようになり、29%で朝早く起きるようになったと答えました(図1)。記入しなかった子どもの10%と14%に比べ高く、日誌の記入によって早寝・早起きができるようになった子どもが増えたことがわかりました。

 次に、ネット利用に関しては、毎日記入した子どもでは35%がゲームやスマホの使用時間を決めて守るようになったと答え、勉強に関しては17%で時間が増えたと答えました(図2)。記入しなかった子どもはそれぞれ16%と6%であり、日誌をつけることでゲーム・スマホの使用時間を守り、勉強する時間が増えた子どもが多いことがわかりました。
 最近は学校でタブレットを一人1台配布し、授業での使用も始まりました。学校によってはタブレットを家に持ち帰ることも許可されており、ますます子どもがネットに触れる時間が増えています。このような時代の流れの中で、子どもの生活リズムの乱れによる睡眠不足と勉強時間の減少対策に「睡眠・メディア日誌」をつけることは有効な方法と言えます。ルールをつくり、それを守る力を育てることは、これからを生きていくために非常に大事なことです。そのためにも日誌の活用は一つの対策になると思います。


「睡眠・メディア日誌」は濱島印刷㈱が、一冊200円で販売しています。
詳しい内容と通販サイトはこちらから

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