【連載】内科・心療内科24 – 子どもとインターネット(3)小学生編

CHILD'S SCHOOL

子どもとインターネット(3)
小学生編

 4歳、5歳になると語コロナ禍が始まり3年目になりましたが、最近は子どもに感染がひろがっています。そのため外での遊びや運動が制限され、家で長い時間ゲームをしたり、動画を見る子どもが増えています。そこで、今回は小学生について考えてみたいと思います。

ブルーライトの及ぼす影響
 県内の1万人余りの小学生を対象に調査した結果を紹介します。インターネットゲーム障害(ゲーム障害)の判断は、2013年に米国精神医学会が報告した基準を用いました。それによると、男子では1〜3年生の低学年で19%、4〜6年生の高学年で15%、女子では低学年11%、高学年8%がゲーム障害に該当しました。男女とも低学年が高く、特に男子が高いことが分かりました。

 
 そこで、ゲームが小学生の睡眠と勉強に与える影響を調べました(図1)。ゲームを1〜2時間すると、しない人に比べて1.2倍、2〜3時間で1.4倍、3〜4時間で2.3倍、寝つきが悪くなることが分かりました。朝が起きられない、昼間眠たい、怖い夢をみるリスクも同様でした。ゲーム機やスマートフォンから出るブルーライトを夜遅くまであびると睡眠を誘導するメラトニンが分泌されなくなること、さらに脳がまだ昼間だと勘違いして寝つきが悪くなるのです。また、体内時計にずれが生じて時差ボケのようになり、昼間の眠気とだるさが出ます。

勉強後はゲームをせず就寝へ
 ゲーム時間と勉強の関係では、ゲームを1〜2時間すると1.4倍、2〜3時間で2.2倍、3〜4時間で2.8倍、勉強嫌いになることが分かりました。ゲームに夢中になると勉強や学校の活動に関心が向かなくなり、勉強嫌いになるリスクが高くなるのです。さらに東北大学の川島隆太先生の調査から、自宅学習を2時間してもゲームやスマートフォンをする時間が長くなると成績は下がることも分かっています。勉強した内容は寝ている間に脳に記憶されます。勉強後にゲームをすると記憶される前に消えてしまうと言われており、勉強後にゲームはしないで寝ることが大事です。ここでもう1つ分かったことは、ゲーム時間が1時間以下の場合、寝つきと勉強嫌いに影響がなかったことです。

同じゲーム時間でも低学年ほど受ける影響大
 次に低学年と高学年のゲーム障害になるリスクを比べてみました(図2)。ゲーム時間が長くなるほどゲーム障害になるリスクは、低学年が高いことが分かりました。ゲーム時間が1時間以下では高学年にリスクはなかったのに比べ、低学年は1.8倍のリスクがあり、1 〜 2時間で4.1倍、2〜 3時間では7.6倍、3〜4時間に至っては16.5倍の非常に高いリスクになりました。この結果から同じゲーム時間でも低学年ほど受ける影響が大きいことが分かります。
 以上の結果からゲーム時間は低学年30分、高学年1時間まで。就寝時間は低学年21時まで、高学年は21時台に寝るように、しっかりルールを決めて取り組むことが大事です。

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