【連載】かごしまお魚再発見48

お魚再発見

お魚ファイル48 キュウシュウヒゲ

キュウシュウヒゲ

大富先生(鹿児島大学水産学部)に、鹿児島のお魚のことを教えてもらえるこのコーナー。
今回は、海に捨てたらもったいない、本当はおいしい深海魚をご紹介!

「もったいない」をなくそう 中骨がやわらかくおいしい魚

Y依「キュウシュウヒゲっていう魚、知ってる? 今まさに、売り出し中らしいよ」
F花「もちろん知ってる。この前、鹿児島市内の料理店で食べた。むっちゃおいしかったわ」
Y依「今でこそ私たちも食べることができるようになったんだけど、以前は漁師さんの網に入っても海に捨てられていたんだって。食べられるお店は、かごしま深海魚研究会のメンバーのお店だけなんだよ」
F花「それって、『鹿児島のうんまか深海魚ございます』って書いてあるお店やろ?」
Y依「そう。かわいいのぼり旗もあるしね。最近はスーパーでも売られるようになったから、安く買って自分で料理することもできるんだよ。しかも、調理済みで、あとは揚げたり焼いたりするだけ。楽チンだよ」
F花「うそー、ほんま? どこのスーパー? 今度買って、居酒屋さんの味を家で楽しもっと」

 F花さんは関西出身の「この花咲くや」姫。沖縄出身のY依さんはなんと、私と誕生日が同じなんですね。お二人とも「うんまか深海魚」に詳しいですね。
 キュウシュウヒゲは錦江湾のとんとこ漁でたくさんとられますが、今までは全て海に捨てられていました。でも、本当はとてもおいしい魚。なんといっても、中骨がやわらかいので、そのまま食べられるんです。素揚げ、から揚げ、塩焼き、煮付け、…何でもOKですよ。
 SDGsが叫ばれる今、だれも見ていない海の上で、すでに「もったいない」現象が起きています。アナタならどうしますか?

キュウシュウヒゲ
 鹿児島の海で発見され、名前に「キュウシュウ」がつくタラ目ソコダラ科の魚。南日本の水深115mから400mくらいまでの海底にすむ深海魚で、全長は25cmほど。オスよりもメスのほうが大きくなります。錦江湾の深いところにたくさんすんでいて、メスはほぼ1年中卵を産みます。かごしま深海魚研究会の活動により、有効利用が進められています。

とてもかわいい“正義の味方”
 キュウシュウヒゲを正面から見ると、なんてかわいいことでしょう。今までこの魚に、にらめっこで勝った人はひとりもいないんですよ。良くて引き分けですね。なんせ、彼はなかなか笑いませんから。
 キュウシュウヒゲはクセのないおいしい白身の魚。私たちが食べることで漁師さんは収入が増え、働きがいが増します。このかわいい魚は将来の海を守る正義の味方でもあるんですよ!

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