【連載】内科・心療内科26 – 子どもとインターネット(5)学校編

CHILD'S SCHOOL

子どもとインターネット(5)
学校編

 現在、国をあげて子ども1人に1台のタブレット配布が進み、メディア機器を使った教育が進んでいます。家庭では、タブレットやゲーム機の使用について益々心配が増えてきているのではないでしょうか。今回はそれについて考えてみましょう。

子どもが使うタブレット端末の管理について考えましょう

 文科省はタブレットで紙の教科書の内容をそのままみられる、いわゆるデジタル教科書を2024年度から導入する予定ですが、これが学力向上につながる科学的根拠は現在のところないようです。逆に2015年にOECD(経済協力開発機構)に加盟している29カ国で学習到達度を調べたところ、パソコンの使用が長時間になるほど読解力や数学の成績は下がっていたと報告されました。

 また、タブレットは脳の発達を妨げる可能性があり、紙と鉛筆を使って手で書くことは、脳の前頭葉の活動を活発化させるとともに読む能力と記憶を高めるとの報告があります。手書きでは先生の話を聞いて、自分で考え整理しながらノートに書きます。タブレットは操作だけで瞬時に結果(答え)が出るため、じっくり考えず知識が脳に定着しにくいと言われています。手間をかけて脳に刻まれた記憶こそ、自分から吸収した知識として定着するのです。

 タブレット端末の学校での管理ですが、75%の学校は必要時のみ子どもに配布していますが、在校時に常時子どもに携帯させている学校が約2割あり、さらに自宅に持ち帰らせる学校も2割余りあることが分かりました(図)。持ち帰りの理由として、端末になれるためが6割、予習・復習や宿題など勉強が3〜4割あり、オンライン授業が3割でした。

 コロナ禍をきっかけにネット・ゲーム依存症の子どもが増えているところに、学校からタブレットの持ち帰りと使用について許可されると、子どもが親の注意と指導に耳を傾けなくなることが危惧されます。
 子どもは衝動を制御する前頭葉の発達が未熟であり、自制する力、我慢する力は十分に育っていません。そのため「ゲームをしたい、動画をみたい」など欲求をコントロールできず、親や先生が注意しても隠れてしたり、反発して長時間してしまうことがあります。そこで学校に対して、①学校では、タブレット端末の使用ルールを作成して必要時のみ配布して、必要ない時は学校がしっかり管理する。②家への持ち帰りと家での使用は許可しないようにして欲しいと思います。

 さらに先生と親にお願いしたいのは、子どもの疑問や質問に対して、子どもの前でネットを開いて教えることは極力しないようにして下さい。そういう時こそ、本や辞書で調べたり、一緒に考えるようにしましょう。便利さを強調して、ネットで勉強する習慣を子どもの時から身につけさせるのではなく、自分で考え、声を出して読み、手書きで計算したり、何回も書いて覚える習慣をつけさせましょう。努力して得られた結果から自信が生まれ、それが将来生きていくための糧になるはずです。

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