【連載】かごしまお魚再発見51

お魚再発見

お魚ファイル51 シロギス

シロギス

大富先生(鹿児島大学水産学部)に、
鹿児島のお魚のことを教えてもらえるこのコーナー。
今回は、投げ釣りで釣れる、砂地の海底を泳ぐ魚をご紹介!

自分で釣って食べてみよう!
夏においしい上品な白身の魚

 突然ですが、キスは好きですか? …と聞かれて、ほほを赤らめたアナタはまだまだ若い!私なんか、キスと聞けば、青い夏空の下、白い砂浜で投げて釣るシロギスしか思い浮かびませんから。
 そう、一般的にキスと呼ばれているのはシロギスという名前の魚ですね。キスの仲間は何種類かいますが、私たちの近くの海にたくさんいるのはシロギスです。コロナ禍以降、女性の間でも魚釣りが大人気になってきました。投げ釣りや船釣りの対象になるシロギスは、「かけあがり」と呼ばれる、砂浜の沖の斜面になったところに多くいます。投げ釣りだと、仕掛けを砂浜から「かけあがり」の向こうまで投げて、リールで糸を巻きながら魚信(あたり)を待つんですね。仕掛けが「かけあがり」に差し掛かると、斜面を登るわけですから重く感じるようになります。そこがよく釣れるポイント。シロギスは海底に群がっていますから、こつんこつんと魚信があると、続けて魚信があって一度に何匹か釣れることもありますよ。アナタもチャレンジしてみませんか?
 シロギスは、上品な白身のとてもおいしい魚。天ぷらやフライが定番ですが、私がおすすめしたい料理は刺身ですね。あっさりとして、暑い夏には最高です。自分で釣った魚は格別ですよ。初夏に釣れる小さいシロギスはピンギスと呼ばれます。昔、ヒンギスというテニスの選手がいましたね。関係ないか。

シロギス
 スズキ目キス科の魚で、大きなものは全長20cmを超えます。北海道南部から九州にかけての、岸近くの浅い海にすんでいます。体は細長く、うすい茶色か黄土色ですが、見る角度によってはパールピンクに輝く美しい魚です。ふだんは砂地の海底の近くを泳いでいますが、敵から身をかくすために海底にもぐることもあります。夏に卵を産みます。

シロギスではないキス
 キスの仲間は、シロギス以外にも何種類かいます。まずは、今や幻の魚といっても過言ではないアオギス。シロギスよりも大型になり、その名のとおり、少し青みを帯びています。腹びれが黄色いのも特徴です。脚立に座って行うアオギス釣りは、昔は江戸前(東京湾)の春から夏の風物詩だったようです。また、沖縄の海には南方系のキスがいます。体に暗色の斑紋があるホシギス、シロギスとよく似たモトギスです。
 東南アジア産のキスが天ぷら用に開きの状態でお店に売られていることがありますが、シロギスではなく近縁種が多いと思います。

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