【連載】かごしまお魚再発見52

お魚再発見

お魚ファイル52 スミクイウオ

スミクイウオ

大富先生(鹿児島大学水産学部)に、
鹿児島のお魚のことを教えてもらえるこのコーナー。
今回は、口の中が真っ黒なうんまか深海魚をご紹介!

ちょっと汚らしい印象? 上品な白身のおいしい魚
  最近の子どもは「サケは切り身で泳いでいる」と思っている。なんていう話がありましたよね。「えっ、本当にそんな子いるの?」と思ったものでした。実物を知らないで食べているということですね。
 では、アナタがいつも食べている、市販のお弁当のおかずや「白身魚の○○」なんていう名前の料理になっている魚の、泳いでいる姿をご存じですか? じつは、それらの多くは外国の海でとられる深海魚なんですよ。「サケは切り身で…」は他人事と言えますか? そんなアナタにぜひ知ってほしい魚がスミクイウオ。もっか売り出し中のうんまか深海魚の一つです。鹿児島では、錦江湾にもいますが、主に阿久根から枕崎にかけての薩摩半島の沖で行われる底びき網(通称、たかえび漁)でたくさんとられています。
 見た目、グロテスクですか?ほとんどの場合、うろこがはがれた状態で船に上がってきますので、ちょっと汚らしい印象があるかもしれませんが、上品な白身のおいしい魚です。かごしま深海魚研究会の取り組みで、最近では「鹿児島のうんまか深海魚ございます」のポスターをかかげた料理店で食べることができます。また、スーパーで鮮魚として売られていることもあります。調理は簡単なので、自分で好みの料理を作ってもいいですね。身はやわらかく、加熱すると意外にしっかりします。刺身に煮付け、塩焼き、南蛮漬け、何でもOKですよ。

スミクイウオ
 日本各地、東シナ海、南シナ海からオーストラリア、南アフリカにも分布するスズキ目スミクイウオ科の魚です。以前はのどぐろ(アカムツ)と同じホタルジャコ科の魚でしたが、別の仲間になりました。全長は20~30cm。水深200~500mの深海に多く、底びき網などでとられますが、これまではねり製品の原料にされる以外はほとんど見向きもされませんでした。

シスミクイウオの由来
  名前の由来は文字通り、墨(すみ)を食った魚。口の中が真っ黒なんですね。あの高級な深海魚、アカムツが「のどぐろ」と呼ばれるのも同じ理由です。ほとんど光のない深海には発光バクテリアを共生させた“光る”生き物がいます。そんな生き物を食べると口の中やおなかが光って、目立ってしまいます。そこで、黒い遮光カーテンでかくすことで敵から身を守るというわけです。生き物の色やかたちはすべてに意味があるんですね。

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