【連載】小児科 ‐ 生まれつきの免疫系異常

CHILD'S SCHOOL

生まれつきの免疫系異常
自分を守り敵と戦うからだのシステムが、生まれつきうまく働いていない10のサイン

 自分の子どもが他のお子さんと比べて繰り返し熱をだす。毎回熱が長引く、薬が効きにくい。風邪や下痢が長引いて体重も増えない、また入院と言われたなど、うちの子は生まれつきからだが病弱じゃないかと感じたことはありませんか? 病気をくり返すことは子どもにも家族にも大きな負担です。もともと身体を守る仕組みのことを「免疫」といいます。

 この免疫をつかさどる分子の生まれつきの異常によって、免疫系が正常に機能しなくなる疾患を原発性免疫不全症候群(生まれつきの免疫系の異常)といいます。330以上の疾患が知られていて、同じく300以上の責任遺伝子が原因として確認されています。千人に一人程度の頻度と推定され、決して珍しい病気ではありません。

 私たちが日常遭遇する典型的な症状としては易感染性があります。これは感染症を反復したり、感染症が重症化したり、弱毒菌に感染したり、なかなか抗菌薬が切れなかったりするようなことを指しています。現在「原発性免疫不全症を疑う10の徴候」が作成され、Webなどで掲示されています。これらの疾患の中には乳児で感染症や下痢を繰り返し、体重増加不良を呈する場合など、緊急に検査を進める必要がある疾患も含まれていますので、10のうち一つでも当てはまるものがあればかかりつけの医師に相談してみてください。

 原発性免疫不全症は、易感染性のみならず、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、悪性腫瘍、自己炎症性疾患などの発症に関与し、またアレルギーにも関係していると言われています。

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