【連載】小児科 ‐ 成長曲線をつけてみよう

CHILD'S SCHOOL

成長曲線をつけてみよう

 子どもの発育の仕方はそれぞれで小柄でも中高校で伸びる人、大柄でも早く身長の伸びが止まりみんなに追い越される人など様々です。低身長をコンプレックスに感じて、治療を期待し来院される方も多いですが、「背が低い体質」という場合が多くを占めています。ですのでほとんどの場合「低身長=病気」と言うわけではありません。
 しかし身長の伸びが悪い場合、逆に伸びが良すぎる場合、そして平均よりかなり外れている場合には病気が隠れていることがありま
す。それに気づくためにまず母子手帳の身長・体重曲線を開いてここにお子さんの記録を書いてみましょう。なるべく過去に遡って現在までの身長体重を年齢に応じて記載します。上下の線から外れている場合、あるいは上下の線とくらべて明らかに平行に伸びていない場合は要注意です。図の-2SDより下、これは100人いれば最も背が低い子と次に低い子が該当します。-2SD以内におさまっていても急に伸び悩んでいたり、逆に伸びすぎたりしているようなら要注意です。
 最近は学校での成長曲線記載が始まっていて、養護教諭から指摘されることもあります。
 低身長の原因は表に示したように多様です。このうち内分泌疾患である甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの内服で対応できますし、成長ホルモン分泌不全性低身長症は成長ホルモンの注射で対応します。

低身長の主な原因
❶病気とは考えにくいもの:体質、家族性、未熟児で生まれたなど
❷妊娠期間(在胎週数)の割に小さく産まれて、その後も伸びが遅い
❸成長を調節するホルモンの異常(成長ホルモンの不足、甲状腺ホルモンの不足など)
❹染色体の異常(ターナー症候群、プラダーウイリー症候群など)
❺骨や軟骨の異常(軟膏異栄養症など)
❻心臓、腎臓、肝臓、消化管などの内臓の病気
❼心理社会的な要因(愛情遮断症候群など)
❽睡眠・栄養・運動の状態が悪い場合

 日常で私たちが「食べないから大きくならない」などと、つい子どもを責めてしまうことがあるかもしませんがそれは可哀想です。お友達には身体は小さいのにたくさん食べる子もいますが、一般に小柄だとそれだけ胃が小さくすぐに満腹になってしまいます。食べろ食べろはストレスになり逆効果かもしれません。一方で胃が小さい分すぐ空腹になります。無理に食べさせるより、補食を考えてあげましょう。お菓子より炭水化物とタンパク質の組み合わせが好ましいです。冷凍しておいた残り物の解凍でいかがでしょう。
 病気が隠れているかもといっても低身長の多くは体質によるものです。病気でない場合は治療の対象にはなりません。体質による低身長との診断で様子を見ていく場合親の多くは落胆し「子どもが小さいのは私のせい」と自らを責める人もいらっしゃるかもしれません。背の順に並べば低い人は必ず出てきます。横並び意識の強い日本では、小さいことをよりつらく感じることがあるかもしれませんが、それも個性と受け止めて、親が大丈夫と思えば子どもも自信を持てると思います。

参考:日本小児内分泌学会
http://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html

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