【連載】小児科 ‐ 肥満対策は家族ぐるみで 3歳からは要注意

CHILD'S SCHOOL

肥満対策は家族ぐるみで 3歳からは要注意

 ころころとした赤ちゃんをみると自然と笑顔が出てきます。ところが私たち小児科医は3歳以上のまるまるとした幼児に対しては大丈夫かなと少し不安になってしまいます。明るく元気に、のびのびと育って欲しいと願っていますが肥満は幼児期から取り組まなければならない問題だからです。

子どもはなぜ肥満になるの?
 子どもの肥満のほとんどは単純性肥満といって摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために生ずるものです。つまり食事・おやつ・ジュースなどの過剰摂取、食事内容のバランスの悪さ、さらに運動不足などによって起こるものがほとんどです。食生活やライフスタイルの変化、コロナ禍により子どもの肥満が急激に増えています。

なぜ肥満はいけないの?
 肥満は各種の合併症、特に生活習慣病と呼ばれる二型糖尿病、脂質異常症、高血圧などの原因となり、これらは動脈硬化を促進し将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めます。そしてこれら生活習慣病は成人のみならず子どもにおいても見られ、子どもの頃から動脈硬化は進行するのです。また脂肪肝や子どもにとって大事
な睡眠を妨げることもあります。肥満がある場合はこのような合併症を伴っていないかの検査が必要となります。
 また合併症を伴っていなくとも膝・腰などに悪い影響を与えますし、肥満の状態を長く続けていることは子どもでもよいことではありません。

子どもの肥満は大人の肥満と関係あるの?
 子どもの肥満は大人の肥満につながりやすいのです。3歳時で肥満傾向があれば将来のために生活習慣を見直す必要があります。
 気をつけて欲しいのは、肥満に対して批判したり否定的な言動をしないこと、そして栄養バランス
の重要性や、適切な栄養摂取が成長に必要であることを易しい言葉で説明してください。まずは子どもの良い特性を褒め、我慢したり頑張ったらそのたびにきちんと褒めることが大切です。そのことが自己肯定感を育て外見によるいじめや偏見に立ち向かえるような強さを育みます。
 この頃の肥満対策は家族みんなで取り組む事が大切です。家族全体で野菜を食べる、バランスの取れた食生活をするように見直し、運動をして体を動かす生活習慣を一緒におこない、体重のグラフを壁に貼るなど励まし合って行うことが持続させるポイントとなるでしょう。普段簡単に手が届くところに食べ物やジュースを置かないなど家族みんなでサポートするのです。
 母子手帳に添付されている成長曲線を使って身長に比べ、明らかに体重が多い、もしくは体重増加傾向が続いているときには一度医療機関を受診してみてください。子どもの肥満はできるだけ早い時期に介入したほうが改善しやすいということがわかっています。

参考:日本小児内分泌学会
http://jspe.umin.jp/public/himan.html

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